心底申し訳なさそうな声音だ。どこまでいっても彼は本音しか吐かないのだと思い知って、なんだか笑いが溢れてしまった。


嫌いも好きも、極端な感情を何一つ隠さず、誤魔化さない姿勢。真っ直ぐで純粋で、少し憧れてしまう気もするが。



「私も、君のことちょっと誤解してた、ごめん。
これから改めてってことで…よろしく、律」



ふわりと微笑むと、安心したように息を吐く律。


誤解を解いて向き合ってみると、彼はとても良い人だということが分かった。怪我をした右足で立ち上がろうとすると慌てたように手を貸してくるし、あまつさえ教室まで送ると言ってくる始末。


身内に甘いタイプなのかな、と苦笑して時計を見ると、既に授業終了の5分前だった。



「…あとの時間ここでサボれよ。
俺も付き合ってやるからさ」



時計を見て、律はすかさず私をベッドへ押し戻してくる。確かに今からじゃ戻っても意味無いか、と腰掛けた。



その後、私の怪我のことを聞いた獅貴が物凄い形相で保健室に乗り込んでくるのは、今から5分後の話である。