「――シキが女に懐いてる!!」
教室の入り口から聞こえた大きな声に、反射で肩がビクッと震えた。
獅貴が瞳の温かさを消して冷めた目でそちらを見据える。
「…獅貴、お友達…?」
小さく問うとフルフルと首を横に振る獅貴。
だがそんな獅貴とは裏腹に、近寄ってきた明るい茶髪の男子生徒は、窓から差す光を身に付けた大量のピアスに反射させ、笑顔で話しかけてきた。
「やぁお嬢さん!可愛いねぇ、お名前は?」
その問いが自分に向けられたものだと視線で気付いて、慌てて椅子から立ち上がる。
第一印象『チャラい』って感じのその男子生徒の顔を見上げて、淡々とした口調で名乗った。
「あの、加賀谷紫苑、です。君は獅貴の…?」
「うん?親友だよー!!」
「気味の悪い嘘付くな、気持ち悪い…」
「二度言うなよ!!傷付く!!」
笑顔で言い放ったかと思うと、キリッとした目付きでツッコむ彼。
印象は『チャラい』から『忙しい』に変更だな。

