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どこの家にも、よくあることなのだと思う。
よくあることだから、大っぴらには相談しづらい。きっと誰もが経験していて、いつかは乗り越える壁だから。
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俺の家は所謂、母子家庭と呼ばれるもので。
物心ついた時には、『父親』という存在は居なかった。母はたった一人で、俺と弟を育て上げた。
中学に入って、途端に広がった視野に興奮し、俺は色々なものに手を出すようになった。皆がやっているから、そんな理由で、危険なことにも足を踏み入れかけた。
ほんの出来心で訪れた繁華街。その裏通り。
噂はどうやら本当だったようで、そこは不良の溜まり場だった。昔から悪運が強くて、喧嘩に巻き込まれても、いつも躱すことが出来ていた。
運動神経が生まれつき良かったということもあるが。
そこで何となく、繁華街ではそこそこ有名だという不良に喧嘩で勝ってしまって。なんとなく、またもや有名だという族の総長に気に入られ。
なし崩しに族に入ってみたはいいものの、俺は中学2年にして、家に帰らない問題児となってしまった。
そこは居心地が良かった。俺と似たような境遇の奴らが大勢居て、共感を得られて、楽しかった。
だから俺は気が付かなかった。自分のことばかりで、本当に大事なものに気付きもしない馬鹿だった。
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どこの家にも、よくあることなのだと思う。
よくあることだから、大っぴらには相談しづらい。きっと誰もが経験していて、いつかは乗り越える壁だから。
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俺の家は所謂、母子家庭と呼ばれるもので。
物心ついた時には、『父親』という存在は居なかった。母はたった一人で、俺と弟を育て上げた。
中学に入って、途端に広がった視野に興奮し、俺は色々なものに手を出すようになった。皆がやっているから、そんな理由で、危険なことにも足を踏み入れかけた。
ほんの出来心で訪れた繁華街。その裏通り。
噂はどうやら本当だったようで、そこは不良の溜まり場だった。昔から悪運が強くて、喧嘩に巻き込まれても、いつも躱すことが出来ていた。
運動神経が生まれつき良かったということもあるが。
そこで何となく、繁華街ではそこそこ有名だという不良に喧嘩で勝ってしまって。なんとなく、またもや有名だという族の総長に気に入られ。
なし崩しに族に入ってみたはいいものの、俺は中学2年にして、家に帰らない問題児となってしまった。
そこは居心地が良かった。俺と似たような境遇の奴らが大勢居て、共感を得られて、楽しかった。
だから俺は気が付かなかった。自分のことばかりで、本当に大事なものに気付きもしない馬鹿だった。

