戸惑いながらも握手すると、せりざ…獅貴は満足そうに微笑んでそのまま手を掴んで歩き出す。

急な行動に混乱したが、窓際の一番奥の席まで進んでそこに座ると、獅貴は当然のように隣を指さした。



「紫苑、そこに座れ」


「え、いいの?席決まってるんじゃ…」


「ここは自由席なんだよ、適当でいい」



本当か?と疑いそうになったが、周りのクラスメートに目配せするとすごい勢いで頷いているから間違ってはいないんだろう。

それにしても、周囲の怯えたような視線が気がかりだな…。


「…あの、それで…何故私に…?」


何故私に話しかけたのか、考えてもメリットなんて浮かばないし、この男は一体何を考えているんだろう。


獅貴は一度喉を鳴らして笑い、隣の席に座った私に距離を詰めて来た。


とても至近距離にある端正な顔に、なんだか妙な既視感が頭を過ぎる。