ところで何故このイケメンは私なんかに話しかけてきた。


はっきり言って迷惑だ、あまり目立ちたく無いというのに。



「あの、どちら様でしょう、そして如何様で?」



首を傾げて問いかけると、イケメンは一瞬目を見張って嬉しそうに笑った。


「…本当に俺だと知らずに助けたのか…」


「…??」


聞いているのはこっちなのに、なにやらイケメンは口元を手で覆いながらブツブツ呟いている。

一体全体どうしたと言うのか。


「あ、あの…?」


困惑気味に話し掛けると、彼ははっとしたように私に視線を向けて手を差し出してきた。握手だろうか、だがいきなり何故。



「名前」


「…はい?」


「…俺、芹崎獅貴(せりざきしき)。お前は」


「あぁ、加賀谷紫苑(かがやしおん)だよ、よろしく、えーっと、芹崎く…」


「獅貴だ、紫苑」


「あ、うん、よろしく、獅貴…??」