拾った総長様がなんか溺愛してくる(泣)【完】



動きが大人しくなった彼に微笑んで、傷跡に絆創膏を貼り付ける。剥がれないよう左右のシール部分を伸ばしたり押し付けたりしていると、倉崎くんが何かに気付いたかのように息を呑んだ。


その喉の音に顔を上げて、私もピタリと停止する。彼は驚いたように目を見開いていたのだ。



「…お前、それ…」



それ、と言った彼の視線の先には、近くでしゃがみこんだことにより距離が近くなった為、よく見えるようになった足首。


そこに付けられているのは、淡い純白のアンクレット。小さいながらも、その白を彩るように飾られた花のモチーフが、幼い頃からのお気に入りだ。




「あぁ、これ?貰ったの、子供の頃に」




やけに凝視してくるなぁ…と思いながらも、隠すようなことでもないので普通に答える。


彼は私の言葉を聞いて再び目を見開いていて、アンクレットを半ば睨むように見つめた。




「貰った…」




うん、と頷くと、倉崎くんはやがて視線を緩めて、私の瞳を向き直す。そこには何故かさっきまでの無関心さは無くて、突然に変化した彼の様子に動揺した。