「別に、俺らのは仲良いとか、そういう事じゃねぇよ」
呆れ混じりに放ったのは、何の感情も篭っていない声音の返事。けれどその答えに驚くことはしなかった。何となく、私は察していたのかもしれない。
私が反応を示さなかったのが意外だったのか、倉崎くんは一瞬、目を見張った。
「…じゃあ、どうして一緒に居るの?」
あくまでも静かに、空気に流すように問うと、彼は目を細めて唇を引き結ぶ。すぐにそれを解いて、答えた。
「居なきゃなんねぇから。お互い、会いたくて会ってるわけじゃねぇ。あのチビみてぇに馴れ馴れしいガキは別だけどな」
あのチビ、というのは、陽葵のことだろうか。あの子がここに居たら君、殴られてたよ…とは言わないでおく。この二人は背の高さはまるで正反対だが、性格がどこか似ている。
特にあれ、プライドの高さは接戦だ。どちらも富士山の如く高い。
「……」
じゃあ結局、どうして。その問いが顔に現れていたのだろう。倉崎くんは微かに苦笑する。苦笑と言っても、よく見なければ分からないくらい、無表情に近いが。

