「そう、なんだ」
返した声は掠れていた。倉崎くんはまた、興味が失せたかのように視線を逸らす。逸らす、と言うより、流すと言った方が正しいかもしれない。
元から何の感情も抱いていなかったみたいな、そんな反応。
「………」
他人と話して、ここまで続かなかったことはあまり無い。むしろ最近は他人の方からグイグイ来るから、私が返事をする間も無かった。
加えてスキンシップまで過剰なのだ。ここまで私に対して無関心な人間は高校に入ってから初めてなので、逆に安心してしまう。
それだけでは、ないけれど。
「…倉崎くんは、獅貴達と仲良いの?」
涼くんが、五人揃うのが常だと言っていたから、きっと彼らの間には絆があるのだろう。とは言っても、彼らが揃っている場面に遭遇したのはごく僅か。
それに獅貴だって、集まっても四人に対してあまり関心がなさそうなのだ。
首を傾げて聞く私に、倉崎くんは何処か面倒くさそうに息を吐いた。そのため息が私に対してなのか、私が放った問い掛けに対してなのかは、区別がつかない。

