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あれから暫く経って、桜が散り始めた頃。



少し肌寒かった風も段々暖かみを帯びて、アパートに帰って過ごしていても、寒さで体が震えることは少なくなった。緑に色付いた葉を見て、季節の移ろいを感じることが多くなり。




獅貴達との関係は、進展も停頓も無く、ぼんやりと何となしに続いていた。




大抵獅貴が私を離してくれないし、教室から動くことは無い。会うとしても涼くんと、たまに陽葵が来るくらい。




黒マスクくんと金髪くん―――理史くんと禅くんには、あの日からほぼ会っていない。どうやら忙しいようで滅多に授業に出ることも無いし、視聴覚室にも、行こうとすると獅貴が不遜な態度を見せるから行かなくなった。




平和だから良いのだが、平和すぎるのもまた怖い。短期間であまりに多くのことに出会い過ぎた。




その核が獅貴だ。未だに私にくっ付いてばかりで、まるで飽きる様子が無い。そろそろ季節を跨ぐというのに、熱心なことだ。




今日も今日とていつもの日常が続き、私はついに嫌気がさして、昼休み、トイレに行くと言って教室を抜け出した。




行先は、決めていないが。