顔だけ見て近付いてくるだけでも嫌なのに、臭いしケバいって本当最悪じゃんか…流石に同情する。傲慢で我儘で最悪って思ってたけど…獅貴、君も苦労してるんだね…。
「…な、なんだその目…」
知らず知らず、瞳にも憐憫を込めてしまっていたらしい。キョドって聞いてくる律くんに、微かに微笑んで首を振った。
「いや…君は本当に、獅貴が好きなんだね」
「なっ、はっ!?好きだよ!!」
いやそこは『好きじゃねーよ!!』だろ。ツンデレ期待した私の純粋な心を返せ。
「マズいな…」
ちょっと馬鹿になってる脳内を軌道修正する。大声で好き宣言した律の顔に羞恥は無い。とても堂々とした面持ちだ。
「………」
因みに獅貴は相変わらず無表情で飄々としている。いやお前はもっとなんか、こう…反応しろよ。一応今「好き」って言われたんだから。そんなスンッてしてないでさ。
「総長…っ!その冷たい目!!蔑むようなその目!!もっと!!もっと睨んで下さい!!ゾクゾクする!!」
なんか最近ヤバい奴にしか会わないな。獅貴に出会ってからだ。やっぱ全ての元凶獅貴じゃないか。

