「…あ、うん、大丈夫だけど…この子だれ…?」
苦笑混じりに問い掛ける。獅貴が口を開く前に、灰色のイケメンがムッと顔を顰めて近付いて来た。大きく地響きを鳴らすような足音に、体が強ばる。
目の前で仁王立ちになる彼。呆然と見上げると、ピクピク眉を痙攣させながら言う。
「総長の手を煩わせるな、馴れ馴れしく質問するな。本当に何者だお前。因みに俺は流川律」
ちゃんと自己紹介はする辺り、根は良い子なのかな…?
「あ、どうも、加賀谷紫苑です。よろしく…?」
「紫苑か、覚えた。よろしく」
なんか普通に握手しちゃったけど、いいのこれで?おかしくない?すごい敵意向けてきてるじゃん。こういう時は普通『お前なんかと宜しくするかよ!』とか言って険悪ムードになるとこでしょ?
頭が混乱する。"?"を浮かべながらもまあまあ冷静に対処することが出来た。彼の『何者だ』って言葉も『お前の名前は何だ』って解釈なのか。言葉の問題じゃん分かりにくいなぁ…。

