授業中、先生にさされてもすぐ答えられて、身なりは派手だけど、すごく頭が良くて普段の生活を見れば見るほど噂なんて打ち消すくらい印象のいい人。
だと思う。
ただの勘だけど、なんとなくそんな気がする。
城田くんと、話してみたいな。
どんなお話をするのかな。
笑った顔はどんなだろう、怒るとどうなるんだろう。……怒ったら、コワそう…だな。
「ねえ、久原さん、もういい?」
それは突然だった。
普段聴いてる冷めたものとは別の、ほんのちょっと優しい声に困惑しながら、パッと振り返る
さっきまで頭の中を占めていた真っ赤な髪の毛。今日も無造作にセットされたその髪をよく見ると、毛先が跳ねてて癖っ毛なのかなって思った
彼が城田くんだって認識した瞬間、机に触れていた手を勢いよくはなして、笑顔を貼り付ける。たぶん、いや絶対、私の顔引きつってると思う…。
「あ、お、おはよう、城田くん」
どこから見られてたんだろう、って恥ずかしくなってどもってしまう。
そんな私を、城田くんはチラッと一瞥してすぐに目を逸らす。
「…おはよ、それいつもやってんの?」
城田くんの口から出てきた言葉が、どんな意味を持っているのか分からなくて首を傾げる
その視線は、わたしの手元に向いている
も、もしかして、城田くんの机に触れていたこと…??
返答に困っていると
「窓と机、拭いてたから」
と、続けた。あっ、そ、そっちか
あれ、でも、
てことは、もしかして、最初から見られてた…?
私が、城田くんの机に触れて城田くんのことを思い出していたことも
う、恥ずかしい



