青、こっち向いて。



「やっぱり、久原さんはいい子だよ」


今まで聞いたどの声よりも、ずっと柔らかくて、優しい声だった。

私は自分をイイコとは思えないけど、でもそれはきっと私が城田くんを優しい人と言うことと同じなんだと理解して、今日はその言葉を素直に受け取ることにした。


送ってくれた城田くんにお礼を言って、家に入ると、お母さんはいなかった。


いつもは置いてある晩ご飯のお金も、《ごめーん》と、軽い謝罪のメッセージもなにもない。だけど、なぜか清々しい気持ちで




その日、なぜかものすごく疲れていた私は、城田くんのあの柔らかく優しい声を何度も頭の中で繰り返しながら、制服のまま眠りについてしまった。