「家まで送る」
雨は上がっていた。
またあの日のように城田くんは、私の隣を歩く。
ごめんね、と言おうとして、やめた。
代わりに、微笑む。
「ありがと、城田くん」
カバンを肩に掛け直して、この前より少し近くを歩いた。
あの男の子たちがいたらどうしようって、内心不安だったけど、コンビニにいたのは何人かのお客さんだけ。
私のそんな心配は杞憂に終わった。
そのコンビニをすぎたあたりで、それまで流れていた沈黙を破ったのは城田くんの方だった。
「また今日みたいなことあったら、店で時間つぶせば」
「え、でも…迷惑になるから」
城田くん、心配してくれてるの、かな。
だけど、営業の邪魔になってしまう気がして、毎回使わせてもらうのは気が引ける。
「…んじゃそのときは俺に連絡して」
予想外の言葉にポカンと、口を開けたまま立ち尽くす
「なに、その顔」
間抜け。と、
ボソッと城田くんがこぼしたのを、聞き逃さなかったけれど、それより城田くんがさっき言ってくれたことの方が気になる。
「…城田くんって、私と話すの嫌なんじゃないの?」
「は?なんで?」
なんで?って本気でそう思っていそうな声のトーン。
面と向かってなんで、なんて言われると言葉に詰まる。
「城田くん、朝とか私のこと避けてない? 連絡先交換するときも拒否された…」
「あー…」
ちらりと城田くんを見やると、目が合う。



