青、こっち向いて。



「あの、城田くん」


城田くんだったら、同じ状況に立たされたとき、どう対応するのかなって、気になっただけ。


相談がしたかったとかじゃない。

もう私はお母さんとの関係を修復する気は全くないから。


だから、話そうと思ったのは、ただの気まぐれだった。のかも。


「私の話、聞いてもらってもいい?」


城田くんはきっとわかっている。その話が、私が泣いていた理由であること。


そんな面倒なこと、聞きたくないって言われちゃうかなとも思ったけど、予想外に穏やかな顔で「ん」と頷いてくれて、私もフルーツティーで喉を潤す。


程よい酸味と鼻に抜けるフルーツと、紅茶の香りが気持ちを落ち着かれせてくれる。


「うち、昔から家族仲悪くてね? 両親は毎日ケンカばっかりで、ついに私が中学のときに離婚したの。お母さんはそれまですごく真面目な人で、ご飯とかも主菜副菜汁物ってバランスよく配膳しないと気が済まないような人だった。それは、愛情があるからやってくれてるんだろうな、って思ってたんだけど、違ったんだと思う。多分、おかあさんにとってそれは仕事と同じ。義務でやってたの。離婚してからは一度も料理してるところを見てないから」



ティーカップをくるくる回しながら小さく微笑む。