城田くんに指定されたテーブル席に腰を下ろしてキョロキョロと辺りを見渡す。
メニューは各テーブルに小さな黒板が設置されていて、そこに手書きで記されている
なんだかその文字は城田くんの字と似ていて、とても綺麗で、読みやすい。
しばらく待っていると、バタバタと大きな足音がしてから、城田くんとピンク色の髪の毛の女性が出てきた。
ボリューミーなピンクの髪の毛は綺麗に大きなウェーブがかかっていて、高い位置で二つに結ばれている。とっても若くて可愛らしい女性。
メイクもカラフルで、雰囲気によく合っている。
城田くんの髪の毛の色で耐性ができたと思っていたけど、さすがにその鮮やかな色には驚いてしまった。
「えー!大輔の彼女? かわいいね!お名前は何ちゃん? アタシはここの店主でナギサって言うの!よろしくね!」
見た目とは裏腹にとても落ち着いた声。低い、わけではないけれど、耳に優しく響く声。
少し考えてから、彼女、という言葉に動揺して慌てて首を横に振る。
「あ、あの、私彼女ではなくてっ! 城田くんのクラスメートの久原青です、よろしくお願いします」
「なんだ、彼女じゃないのか〜。まあ、こんな無愛想なヤツじゃね…あ、そーだ!何か飲むでしょ?どれにする?アタシのおすすめはね、このアイスフルーツティー。青ちゃん、お紅茶飲める?コーヒーもあるよ」
ものすごい勢いで喋ってくるナギサさんに圧倒されながら、じゃあそれを、と言おうとしたところで城田くんが間に入ってくる
「その辺にしとけって、ナギサ。久原さん困ってるから」
「え!ごめんごめん!アタシよくマシンガントークって言われるんだよね、ごめんね?あ、ここのお代はぜーんぶ大輔につけておくから好きなの選んでね!ケーキとかもあるよー?」
「だから、困ってるって」



