…だけど、やっぱりまだ怖い。


あの日から夜道は歩かないようにしてる。城田くんが助けてくれなかったら、あの日私はどうなっていたのか考えるだけで怖くて



《ごめんなさい、今日は体調が悪いから家で休みたい》


勇気を振り絞って、メッセージを送る。

すぐに既読がついて、お母さんから返事が来た。



《あーちゃんはイイコだからわかるよね?》


…イイコ、私、イイコなんかじゃ、ない。


私をワルイコって言ったのは、お母さんなのに。



メッセージを読んでいると、すぐにお母さんから着信がきた。


人気のない廊下の隅へ体を寄せると、
ゆっくりとした動作でその電話に出る。

途端、ヒステリックに叫ぶお母さんの声に頭がキーンと響いた。


『あーちゃん!あたしを困らせないでよ!』

「…ごめんなさい、でも、お母さん、私、この前は怖い思いしたの、お母さんに頼まれたあの日、知らない男の子に絡まれて…」


『知らないわよ!そんなこと!!ワルイコのあーちゃんなんかいらない!もう帰ってこなくていいから!』



ブツッと冷たく切れた電話。スマホを片手に涙をこらえるのに精一杯だった。


よかった、放課後で人気が少ない時間で。


ぽろっと一粒こぼれた涙を手の甲で拭って、その場にしゃがみ込んだ。


お母さんにとって、私はどうでもいい存在だ