…と思ったけれど、まだ五月だっていうのに、今日の気温は真夏日を超えていて、日差しの強さにとてもじゃないけど耐えられそうない。
「暑い…」
何人かは中庭で食べているけど、なぜか派手そうな人ばかりで、昨日のことがあったせいかそれも中庭で食べることをやめる要素になった。
諦めて、涼しそうな場所探そう…。
ここ、いいかもしれない。
と、やっと見つけた場所は体育館の裏だった。
ちょっとジメジメしてるけど、ちょうど日陰になっていて涼しい。風もよく通るし、なんなら少し肌寒いくらい。
ここにしよう!って段差のあるところをぱんぱんと叩いてから腰をおろした。
「…久原さん?」
腰を下ろした直後に、名前を呼ばれて、何も悪いことはしていないはずなのに、体を大きく揺らして慌てて声のした方を見る。
燃える赤と、ミステリアスな真っ黒い瞳。
右手には文庫本と、コンビニで買ったであろう菓子パンが握られていた。
あ、城田くん…
「…城田くん、もしかしてここでいつも食べてる?」
邪魔しちゃったかな、と、心配しながらたずねる
「まあ…。久原さんは普段教室で食べてなかったっけ」
「あ…、そうなんだけど、たまちゃ…いつも一緒に食べてる子が今日は別の子と食べてて」
「あぁ、そういうこと」
納得したように声をあげて、私をチラッと一瞥した城田くんはくるっと踵を返してしまう
え、
「ここで、食べないの…?」
思わず大きな声が出た



