青、こっち向いて。



つい先日、クラスメートがあの高校の生徒に絡まれたーって愚痴を言ってたんだよね


どうか、絡まれませんように。

そう願いながら、小走りでそこを通り過ぎようとした時だった


「おーい、ひとりー?」


知らない男の子の声がして、一瞬動きが止まる。

どうしよう、これ私に言ってる、よね。

他に人、いないもんね。


無視、できたらよかったんだけど、そんなことをする度胸のない私はぎこちなく振り返る。

そこには、城田くんと同じように髪の毛を赤く染めた男の子。ツーブロックの短髪に、耳にはピアスがジャラジャラと揺れている

城田くんと同じ髪の色なのに、彼のはなぜかくすんで見える。


「俺らとあそぼーよ」


舌足らずにそう言った男の子にぐいっと腕を掴まれる。


こういうときがもしきたら、断ろうとか、誰かに助けを求めなくちゃ、とか色々考えていたのに、その掴まれた腕はびくともしないくらい強く握られて動けなくて、頭が真っ白になって、声も出ない。

こわい、こわい!


「ね? イイコトしようよ、俺うまいよ」


ギャハハと、仲間と下品に笑う男の子。

そのイイコト、が何を指すのか、知識が全くないわけではないから、なんとなく察してしまった。


「…ゃ、離してっ、ください…!」


振り絞った声はとても小さなもので、
どうしよう、周りを見渡しても、私の腕を掴んでいる人の友達であろう人ばかり。助けてくれそうな人がいない

こわい、


振り切って逃げようにも、相当強く握られていて腕を動かせない

どうしよう、


だれか、


だれか助けて