私はずっと泣いていた。
だから、どうやって帰ったのか記憶がない。
気が付いたらソファーに寝かされていた。
それも見たことない部屋の高級そうなソファー。

「ここはどこ?」
まずそれが疑問だった。

パッと見た感じリビングに見える。
フローリングに毛足の長いラグ、広いソファーと大きなテレビ。
インテリアは白で統一されていて、ゴミ一つ落ちていない。

随分と生活感のない部屋だな。それが第一印象。
一瞬ホテルかなとも思ったけれど、テーブルの上の雑誌やサイドボードにしまわれたお酒やグラスが個人の部屋だと思わせる。

「お、目が覚めたな?」

え?

「どうした、驚いた顔をして」
「えっと・・・」

なぜ、今目の前に副社長が

「大丈夫か?しっかりしろ」

ちょっと待って、私は蓮斗と話をつけようと彼のマンションに行って、そこから逃げ出して、
あああ、そうだ。
迎えに来てくれて、

「思い出したか?」
「はい」

ってことは、ここは奏多の家。
うわー、すごい。さすがセレブ。