それから一時間以上かけて、四着ほどの試着をした。

「パーティーと言っても仕事仲間の集まりだよ」
そう説明した奏多さんの言うように、用意されたのはあまりフォーマルなものではない。

ワンピースを少しドレスアップしたものや、シンプルなカクテルドレス。
みんな仕立てがよくて品がいい。

「どれにする?」
ソファーで足を組みながら、奏多さんが聞いてきた。

うーん、悩むなあ。
みんな素敵で選べない。

「奏多さんはどれがいいですか?」

こんな時、人に判断をゆだねてしまうのが私の悪いところ。
わかっているけれど、決められない。

「その白いワンピースが一番似合っていたかな」

指さした先にあるのはノースリーブでひざ丈の爽やかなワンピース。
私もこれが一番好きだった。

「じゃあこれにします」
って言ってしまってから、値段を見た。

うわ、高。
私の給料何か月分だろう。

「靴と小物もそろえておいてください」
「かしこまりました」

女性が頭を下げ、買い物が終わってしまった。