マンションの駐車場に降りて、私はまず違和感を覚えた。

「さあ、乗って」
「うん」
って、この車初めて見るんだけれど。

「ああ、少し大きいのに買い替えたんだ」
私の視線を感じてか、奏多が言い訳気味に口にした。

買い換えたんだって、まるで靴でも買うようなこと言って。
だって、これってドイツの高級車でしょ?

「芽衣や子供を乗せるんだから、走りより広くて安全な方がいいじゃないか」
「そりゃあそうだけれど・・・」

こんな高級車をポンッて買ってしまう金銭感覚についていけない。

「ごめんごめん。次からはちゃんと相談するから」

こうやって、時々住む世界が違うなと思い知らされる時がある。
そのたびに不安な気持ちになるけれど、そこは慣れていくしかないのかな。