病院の特別室での入院生活は約束通り一週間。
その後無事に退院し、私は奏多のマンションへと戻った。

ここを出るときに荷物のほとんどを処分してしまった私のために、生活に必要なものはすべてお母様が新しくそろえてくださったらしい。

「私のためにこんなにしてもらって、申し訳ないわね」
「何言っているんだよ。母さんが好きでしているんだ。それに母さんがしなくても俺がするんだから結果は一緒だろ」

そりゃあそうだけれど。

「それより、時間大丈夫?」
「ああ、そうだ」
急がなくちゃ。

実は今日、九州の両親が東京にやってくる。
本当なら奏多と2人実家に行って結婚の報告をしないといけないけれど、私の体調を心配して両親が来てくれることになった。

「じゃあ行こうか」
「うん」

空港までお父様が車を手配してくださっていて、私たちも両親も平石邸で合流の予定。
さすがに遅れるわけにもいかないから、時間より早めに家を出ることにした。