「彼女は芽衣さん。妊娠三か月の妊婦さんです」

夕食の時に琴子さんから紹介され、私も
「よろしくお願いします」
と頭を下げた。

「芽衣さんの体が回復するまで、二週間くらいここにいてもらうことになりました。短い時間だけれど、仲良くしてあげてね」
「「はい」」

今日の診察で、あと二週間くらいすれば九州までの移動も可能になるだろうとの診断が出た。
それまでは、ここにお世話になることになる。

「私、加奈子です。妊娠六ヶ月」
「私はマリア。八ヶ月です」

同じ家に暮らすのは、三十歳くらいかな私より少し年上に見える加奈子さんと、中学生にしか見えないマリアさん。
加奈子さんはパートナーのDVから逃げてここにいるらしい。
マリアさんは・・・詳しいことは教えてもらえなかったけれど、もう中絶のできない時期の妊娠で出産とともに養子縁組になる予定だと聞いた。
みんなそれぞれ事情を抱えている。

ブブブ。

あっ。
母さんからの着信。

「ちょっとすみません」
ちょうど夕食が終わっていた私は部屋に戻って母さんからの電話に出ることにした。