月曜日。
病院の受診では、妊娠経過は順調で少しづつ体も回復しているとの診断。
さすがにまだ栄養失調状態があるため長距離の移動は無理だけれど、ゆっくり過ごせば入院の必要はないらしい。

「大分回復しているみたいで、よかったわね」
「はい」

予定より早い時間に来てくれた琴子さんに、診察室での説明も同席してもらった。
琴子さんはメモを取りながら食事や日常生活の注意などを聞いていた。


「じゃあ行きましょうか」
琴子さんに荷物を持ってもらいタクシーに乗り込む。



車は都内を走って30分ほどで一件の民家に到着した。

「ここですか?」
「ええ」

お家は古民家風の日本家屋。
小さな庭があり子供用の三輪車やおもちゃも見える。
古いけれど立派な門があり、周囲は緑に覆われている。

「今は三人の女性とスタッフが二名がここに住んでいるわ」
「はあ」


琴子さんに続いて玄関を入ると長い廊下があって、九州の実家を思い出させるような造りだった。


「ここが芽衣ちゃんの部屋ね」
「はい」

案内されたのは六畳ほどの和室。
ベットがあり、庭を見渡せる明るい部屋。

「荷物を置いて少しゆっくりなさい。疲れたでしょう?」
「いえ、大丈夫です」
「後で声をかけるから、みんなへの紹介はそのときね」
「はい」

荷物を置き、カーテンを開け、色々とお世話してくださる琴子さんにお母さんみたいだななんて思いながら私は庭を眺めていた。