午後の早い時間に日本に着いてまずは自宅へ戻ってみた。
予想通りというかやはり芽衣はいなかった。
それどころか芽衣の荷物も全てきれいに片付いていて、跡形すらない。

当然芽衣が住んでいたアパートにも行ってみた。
近くに住んでいる大家に確認してみたら3日前に解約して荷物は全て業者が処分したと言われ、計画的な行動だったんだとわかった。
芽衣は初めから俺がシンガポールへ行ったタイミングで姿を消すつもりだったんだ。そう思うと裏切られた気持ちが強く怒りがこみ上げてきた。


その後会社に向かい、雄平を呼び出した。
雄平にしてみればいい迷惑でしかないだろうが、芽衣の失踪に一役買ってしまった責任は雄平にもある。それがわかっているらしく何も言わずに俺の文句を聞いていた。

「で、これからどうするんだ?」
「さぁなあ」
どうするかなあ。

どちらにしても、芽衣が本気で逃げ出したのなら俺には打つ手がない。