帰国の予定を1日早めて日本に帰ることを決めた俺は、日曜の朝一番で飛行機に飛び乗った。

本当なら今日は現地の友人のパーティーに顔を出すつもりだった。
決してパーティーが好きなわけではないけれど、そういう場で培うコネクションは自分のビジネスの糧になると最近わかってきた。
だから珍しく行く気になっていたのに。

「ったく、何を考えているんだ」

たった1週間家を開けただけで、芽衣が姿を消してしまった。
その上雄平は、俺に何も言わずに芽衣の辞表を受け取ったらしい。

「帰ったらただじゃおかないからな」

ファーストクラスの席に座り険しい顔でブツブツとつぶやく俺の周りには、誰も近づいてこない。
いつもなら必要以上に声をかけるクルーたちも、今日は遠巻きに見ている。

東京までの7時間がこんなに長く感じた事はなかった。
早く戻りたいと言う焦りが、俺をよけいに苛立たせる。