すでに客間のベットにはお布団の用意がしてあり、私はそこに案内された。

「別に寝ていなくても平気ですから」
と言ってみても、
「うん、でも少し横になりなさい。色々考えを整理したいこともあるでしょう?」
そう言われてしまえば、何も言い返せない。

「すみません、お世話になります」
「いいのよ、ゆっくりしてね。月曜日も母が病院へ送って行くから」
「藍さん・・・」

たった数ヶ月会社で一緒だっただけなのに、こんなに良くしてもらって申し訳ないと思うと自然と涙が溢れた。
普段はそんなに涙もろい方ではないのに、どうしたんだろう。

「夕食には呼ぶから、それまで気持ちを落ち着けなさい。できれば副社長にも連絡を入れる方がいいと思うわ」
「ありがとうございます」

私はお礼だけ言い、藍さんは部屋を出て行った。