幸せな時間が過ぎるのはとても早くて、奏多との同居から一ヶ月以上の月日が過ぎた。

課長から厳しいことを言われた時には私も落ち込んだ。
悔しさがある反面課長の言っている事はもっともで、言い返すこともできなかった。

相変わらず奏多は優しく接してくれる。
だからと言って、この幸せがずっと続くとは思っていない。
私と奏多では住む世界が違うんだから。

「芽衣、顔色が良くない。どこか悪いのか?」
「大丈夫だよ」

最近痩せてしまった私のことを奏多が心配してくれる。
本当のことを言うと、ここのところずっと食欲がない。
胃がもたれるし体がだるいし、それでも無理して食べようとすると吐き気がする。
精神的なものだとわかってはいても体が辛いことに違いは無い。
奏多に心配をかけたくないからと奏多の前では無理して食べている。
夕食は帰りが遅い奏多と一緒になることが少ないし、朝ご飯は先にすましたからとごまかすことが多くなった。
きっと奏多もそのうちおかしいと気づくだろう。
それまでに何とかしないと。