(こんな私のそばにエヴァンはいるべきじゃない……)

そう心の中でフィオナは思ってしまう。しかし、エヴァンが隣にいてくれることに心地よさを感じている自分もいて、どちらが本当の気持ちなのかわからない。そして、最近エヴァンを見ていると、花嫁殺害事件のあの時の言葉が蘇るのだ。

『愛してる』

愛がどんなものなのか忘れてしまっても、この言葉を思い出すとフィオナの胸が何故か温かくなる。エヴァンが潜入のためについた嘘だとわかっていても、胸は温かくなってしまうのだ。

エヴァンの話を聞いているうちに特殊捜査チームの部屋につき、フィオナはいつものように扉を開ける。そこにはすでに他のメンバーが揃っていた。

美容師のレティシア・エーデルワイスは、サルビア・ホープの髪をヘアアレンジしているところで、レイモンド・アルストロメリアとフリージア・テイラーが最近の政治について話していた。そして、特殊捜査チームのリーダーであるシオン・アカツキが、フィオナの姿を確認した後、一枚の紙を手に近付いてくる。