フィオナの頭の中に映像が浮かぶ。もう使われなくなった小道具や衣装が置かれた埃っぽい部屋で、キキョウがぐったりと倒れていた。

ここで映像が途切れる。しかし、キキョウがいる部屋がどこかフィオナはすぐにわかった。物置部屋だ。

「早く行かないと……」

フィオナは走り、物置部屋へと向かう。物置部屋は劇場の奥にあり、薄暗くてどこか不気味なせいか、人はほとんど出入りしない。人を隠しておくにはもってこいの場所だろう。

物置部屋につくと、フィオナはドアノブに手をかける。しかし、当然ながら鍵がかけられていた。フィオナはポケットから針金を取り出し、鍵穴に差し込む。数十秒ほど鍵穴をいじると、ガチャンと音を立てて鍵が開く音がした。

ドアを開ければ、湿気の混じった埃っぽい空気が流れてくる。中に人の気配はない。フィオナは警戒しながら物置部屋に足を踏み入れる。ギシッと木造の床が軋んだ。

大きな棚が並べられた通路を歩き、フィオナはキキョウを探す。棚には埃を被った小道具たちが並べられており、レイチェルたちが一生懸命作ったのだと思うと、フィオナはザクロに対して怒りを覚えてしまう。