「フィオナとエヴァンに潜入してもらいたいと考えている。大丈夫か?」

シオンに見つめられ、二人はすぐに頷く。最悪な事件を今度こそ食い止めたい。零れ落ちていくものを一つでも掬いたい。そんな思いをフィオナが抱いていると、レティシアたちが驚いたような顔を見せる。

「フィオナ、あなた……」

レティシアが口を開く。しかし、レイモンドがその肩に手を置いて首を横に振った。教えるな、ということだろう。

「レティシアさん?レイモンドさん?」

フィオナが訊ねると、フリージアが「何でもない。気にするな」とフィオナの頭を撫でる。それを見てエヴァンが羨ましげな目を向けていた。

「さあ、作戦会議をしましょう!」

サルビアが言い、部屋の空気がさらに真剣なものに変わった。



劇団Lily of the vallyにフィオナとエヴァンは履歴書を送り、面接を経て小道具係として採用された。今日からフィオナたちは劇団員の一員として劇団に潜入する。

「小道具係かぁ……。うまくできるかな……」