永遠の愛と幸せを願う場所で起こった悲劇、それは特殊捜査チームの一員であるフィオナ・カモミールの頭にこびり付き、夢の中にまで現れた。

人々の悲鳴、容赦なく飛んでいく銃弾、純白のドレスが深紅に染まり、撃たれた花嫁がその場に崩れ落ちる。

「ああッ……」

何を言えばいいのかわからず、フィオナはその場に崩れ落ちるように座る。刹那、目の前にある花嫁の遺体が目を見開き、フィオナの手を痛いほど強く掴んだ。

「お前のその力は何のためにあるの?特別な力があるくせに、たった一人の人間すら助けられないのね」

そこで夢は終わり、フィオナは目を開ける。汗で髪が額に張り付き、息が少し乱れていた。

「またこの夢……。かなり精神に負担がかかっている……」

感情のないフィオナは、恐怖など感じていないと思い込んでいた。しかし、こんなにも体が悪魔に反応しているということは、悪夢に対して相当なストレスを抱いている証拠だ。