幼い頃から友達がいなかった私に、人生で初めて“友達”ができた。それは小学校6年生の、夏休みのことだった。
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近所の図書館に来て、勉強をしていた日。
『…ねぇ、…………ねぇってば…。』
最初はまさか自分に話しかけているとは思わなかった。
「………、?」
国語の教科書から顔を上げると、その子は私の向かいの席に座って、私の目をじっと見つめていた。
『その教科書、私と同じ。もしかして6年生…?』
「え…うん。」
曖昧な答え方をしてしまったが、その子はにっこり微笑んだ。
『…同じだね!どこの小学校?』
「………北小…。」
『へぇ〜、私は東小!』
「…………………。」
その子は、とても可愛らしかった。
茶色がかった長い髪の毛を下ろし、黒いリボンが付いたカチューシャを付けていた。
そして白いワンピースを着ていて、まるでアニメに出てくる女の子みたいな感じがした。
『…ねぇねぇ!名前は?』
「……松原、花奏。」
『へぇ〜!可愛い名前だね!…どんな字書くの?』
私はノートの隅に、松原花奏と書いて見せた。
『お〜!“花に奏でる”で、花奏ちゃんなんだね…!いいね、素敵な名前!』
…初めて言われた。第一、誰かと名前の話なんてした事がなかった。
『私は綾瀬里桜《あやせりお》だよ!』
里桜ちゃんはそう言うと、自分が持って来ていた教科書の裏表紙の名前を見せてくれた。
「……可愛い名前…。」
『えへへっ、ありがとう!花奏ちゃんって呼んでもいい?』
「えっ、うん………、いいよ。」
『ありがとう、花奏ちゃん!…花奏ちゃんも、好きに呼んでね。』
「うん、ありがとう…。えっと……里桜…ちゃん。」
『…うん!』
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これが、里桜ちゃんと私の出会いだった。
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近所の図書館に来て、勉強をしていた日。
『…ねぇ、…………ねぇってば…。』
最初はまさか自分に話しかけているとは思わなかった。
「………、?」
国語の教科書から顔を上げると、その子は私の向かいの席に座って、私の目をじっと見つめていた。
『その教科書、私と同じ。もしかして6年生…?』
「え…うん。」
曖昧な答え方をしてしまったが、その子はにっこり微笑んだ。
『…同じだね!どこの小学校?』
「………北小…。」
『へぇ〜、私は東小!』
「…………………。」
その子は、とても可愛らしかった。
茶色がかった長い髪の毛を下ろし、黒いリボンが付いたカチューシャを付けていた。
そして白いワンピースを着ていて、まるでアニメに出てくる女の子みたいな感じがした。
『…ねぇねぇ!名前は?』
「……松原、花奏。」
『へぇ〜!可愛い名前だね!…どんな字書くの?』
私はノートの隅に、松原花奏と書いて見せた。
『お〜!“花に奏でる”で、花奏ちゃんなんだね…!いいね、素敵な名前!』
…初めて言われた。第一、誰かと名前の話なんてした事がなかった。
『私は綾瀬里桜《あやせりお》だよ!』
里桜ちゃんはそう言うと、自分が持って来ていた教科書の裏表紙の名前を見せてくれた。
「……可愛い名前…。」
『えへへっ、ありがとう!花奏ちゃんって呼んでもいい?』
「えっ、うん………、いいよ。」
『ありがとう、花奏ちゃん!…花奏ちゃんも、好きに呼んでね。』
「うん、ありがとう…。えっと……里桜…ちゃん。」
『…うん!』
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これが、里桜ちゃんと私の出会いだった。
