その海は、どこまでも碧かった。


「海…
海と幼なじみ、辞めたい」



え…



「それって…
もぉ、碧くんと一緒にいれないってこと?」



碧くん

何言ってるの?



「うん…
いれないかもしれない」



一瞬

真っ白になって

それからまた暑くなった



「そんなの、ヤダ!
碧くんと一緒じゃないと私…」



「ごめん…海…

聞いてくれる?

オレ、海の隣にいると苦しくてさ…
ずっと一緒にいたいのに
このままずっと一緒にいるのは嫌でさ…」



碧くんがいなくなるなんて

考えたくない



「碧くん!
私、ワガママなところ直すから
そんなこと言わないで…
ヤダ!碧くんに嫌われたくない!」



碧くん

私のワガママに耐えられなくなったんだ



「海、聞いて…

ワガママなのはオレで
そのワガママを海に言ったら
嫌われるかな…って…
ずっと言えなかった

海がオレと一緒にいたいって
思ってくれるの嬉しいけど
このまま一緒にいても
お互いのためにならないと思う」



碧くんも

宙と同じ



優しいから

私を責めない



浴衣に涙が落ちた



浴衣なんて

着なきゃよかった



碧くんに浴衣姿見せなかったら

今日ここに居ないし

碧くんとも

ずっと一緒にいれたかもしれない



なんで

浴衣なんて着たんだろう



「海、泣くなよ
浴衣、汚れるよ」



碧くんがタオルを貸してくれた


もぉ着ないからいいよ


もぉ着ないから

碧くん、一緒にいてよ



「みんなに彼氏ができても…
みんなが結婚しても…
みんなに赤ちゃんができても…
羨ましがったりしないから…

だから、だから…
碧くん…

一緒に、いたい…

碧くんに彼女ができたら…
もし、できたら…
そしたら、私…」



どーするんだろ?





そしたら

黙って見てられるの?



一緒にいれないよね

碧くん



我慢できるかな?





「ごめん
海を泣かせるつもりじゃなかった

でも、最後、聞いてほしい
オレのワガママ

海と幼なじみじゃなくて
ちゃんと向き合いたいと思ってる

オヤスミのキスとか
ハグとか
そーゆーのじゃなくて…」



「ヤダ…
碧くん、また手も繋いでくれないの?
そんなの、ヤダよ…」



やっぱり私は

碧くんがいなきゃ…



「繋ぎたいよ
手もちゃんと繋ぎたいし
キスもちゃんとしたい
さっきみたいな間接キスとかじゃなくて
海と本気でキスしたいって思うんだ

海に彼氏ができて
海の彼氏っていう立場が羨ましかった

海、だから…
オレと幼なじみ辞めて…

ずっと幼なじみじゃ、辛い
海と幼なじみじゃできないことしたい

海、オレの彼女になってほしい
彼氏として、海の隣にいたい
彼氏として、海の手を繋ぎたい」



え…

彼氏…?



碧くんの

彼女?