その海は、どこまでも碧かった。


クーラーが効いてる部屋に戻ったのに

さっきより暑かった



碧くんは着てたシャツで扇いでた

碧くんも暑いの?



ピピッ…

碧くんがクーラーの温度を下げた



ベランダの上に月が見えた



「碧くん、月綺麗だよ」



「ホントだ」



碧くんが部屋の電気を消してくれた



窓際に座って

ふたりで月を見た



クーラーの冷風に反して

暑さがおさまらない



碧くん

クーラー壊れてないよね?



碧くんが

さっき変なこと言ったからかな?



「暑いね」



「私も暑い
碧くん、浴衣着てないのに暑いの?」



「うん、暑い
たぶん、海が隣にいるから…」



「あ、私が浴衣着てるから?
ごめん、もぉ脱ぐね!
着替えて来る!私」



「ここで、着替えないの?」



「え…」



「いつもここで着替えてたじゃん、海」



「うん、だけど…」



最近

なんか違うんだよ



碧くんの前で着替えるなんて

恥ずかしくてできないよ



「いいよ
まだ、脱がなくて…
せっかく着たんだからさ」



「でも、私が隣にいると暑いんでしょ
あ、もぉ少し離れるね!」



「海…」



碧くんから離れたのに

碧くんがさっきより近くなった



「ん?」



また暑くなった



碧くん…?



月の光で碧くんが違う人みたいに見えた



碧くんの影がまた私に近付いた



「ごめん…」



そう言って碧くんは

また私から離れた



「碧くん、どーしたの?」



浴衣、ホントは嫌だった?

私が着たそうだったから無理に見てくれた?