Bさんが声をかけたものの、その患者はBさんを無視してフラフラとサロンを出て行きます。Bさんは心配したものの、廊下には看護師や医師もいますし、何かあっても大丈夫だろうと本を再び読もうとしました。

その時です。Bさんはあることを思い出して顔色を真っ青にしました。

Bさんの家族は寝たきりで、その隣に寝ていたはずのあの患者も寝たきりだったはずです。病室からサロンのトイレまで歩けるはずがありません。

「どういうこと?」

Bさんが急いで大部屋に入ると、その患者はすでに亡くなっていました。