結局、あの後は"暗いから送るよ"と言ってくれた先輩の言葉を断って1人でバスに乗り込んだ。

わざわざ送ってもらうのなんて悪いし、バス停から家もそんな離れてないし。


バイトの後はもう少し後の時間だから特に気にならなかった。



でも、楽しかったな。

先輩も親しみやすかったし、いつもより気軽に話すことが出来た。"ふふふ"と自然と口許が緩んだところで。




ーーーあれ?



なんか、おかしいな。

バスの中をキョロキョロと見渡すと、何も変わりは無かった。仕事帰りであろうスーツ姿のおじさんや若いお姉さんが乗車しているだけで、いつもと変わりないんだけど。


少し視線を感じた気がしたけど、気のせいかな。


なんとなく嫌な気分になって、バスから降りると同時に走り出して急いで家の中に駆け込んだ。