本当にイブが女の子の格好をしているとしても、理解は出来ないけど気持ち悪いとは思わないし。

だから、本当の事をちゃんと話して欲しい、なんて。



白い息を吐きながら、萌花の冷たくなった頬に両手をそえた。



イブはきっと、淋しくて、おばさんに会いたくてこんな事をはじめてしまったんだ。私のせいで。


無理矢理聞き出すんじゃなくて、ちゃんとイブの口から聞きたい。



「だからっ、もし何か話があるならーー」

「はははっ」


私の言葉を遮ったのは、萌花の小さな笑い声。いつもよりは、少し低めのトーンだった。



「やっぱり、芽生ちゃんは優しくて可愛い」

「……っ、」

「萌花も、芽生ちゃんのこと大好きだよ」


そう言って、誰もがみとれる位にふんわりと笑う。大きな瞳にじっと見つめられて、釘付けになって動けない。



でも、期待していた。

もしかして、また、あの柔らかいキスが落ちてくるんじゃないかって。