ほんの悪戯のつもりだった。久しぶりに脅かしてやろうと、驚いた顔を見てからかってやろうと、そんな軽い気持ち。



忍び足で家に上がると、家の中に静寂が広がる。静かだとやけに広く感じるな。



何年も足を踏み入れてなかったのに、懐かしい、変わらない室内に少しだけホッとした。

アイツの部屋も変わってなければ1階の1番奥のつきあたり。





何の疑いも無く部屋の扉を開けた。




「鍵開いてたよ!もー危ないからね!」


部屋内を見渡すと予想通りで、壁にアニメのポスターが貼り付けられて、ローテーブルにはゲーム機と飲みかけのペットボトルの置かれている。



窓際のベッドには、膨らんだ布団がモゾモゾと動いていた。

やっぱり。まだ、起きてなかったんだ。




「メリークリスマス!イブ、おはよー!」



迷いなく捲り上げた布団の中にはーー、



「……うーん、」

「……え?」



目を擦る女の子が眠っていた。