「えー?萌花ぁ?」

「は、はい」

「何?萌花のこと好きなの?」

「えっ、いや、凄い可愛いですよね!」

「ふーん。ま、いーど。萌花は去年の春頃かなぁ。その辺で店長がナンパしてたっけ」

「ナンパ?」

「て、芽生ちゃん。南高だよね?萌花と一緒の高校……あ、あれ、やっぱ違かったっけ?」

「……」

「なんか、よく2人でいるし。仲良しなの?いーなぁ、羨ましい」


望ちゃんがクスリと口元を緩めて目を伏せた。なんだかその仕種が色っぽくてドキドキしてしまった。


そういえば、最初にここで店長に紹介して貰った時に学校の話は反らしていた気がするな。なんだか、怪しいな。


私と萌花が一緒にいて仲良く見えるのは、このバイトでまぁ最初に話した相手だし。

上がりが一緒で、バイト終了後、必然的に駅まで一緒に帰ってるからかだろうか。




「うー。寒い……」


チラシを配り終わった萌花が店内へと戻ってくる。

今日は月曜ということもあって、店内はガラガラで。店長からも私と萌花に"今日はもう上がっていいわよ~"なんて言われてしまう位。



「じゃ、芽生ちゃん帰ろうか」

「う、うん」


確かに一緒にいる時間は、他のバイトの女の子と比べて長いのかもしれない。



なのに、萌花の事は何も知らないーー。