やだ、どうしたんだろう、同性なのに緊張して動悸が激しくなってくる。



バイト後なのに、テカリの無い赤ちゃんのような肌、ぷっくりとした柔らかそうな唇。

こんな女の子とちゅーするの、本当に贅沢な事なんだろうな。



「ねぇ、芽生ちゃんは好きな人とかいるの?」

「い、いない……」

「今まで付き合った事は?」

「1人だけ。でも、キスまでで……」

「キスしたんだ」

「でも、想像してたより、そんなもんかって位だった。もっと凄い事だと思ってたから」

「へー」

「あ、でも友達の彼氏の友達が、1つ先輩なんだけど、私なんかのこと可愛いって言ってくれてるみたいで」


こんな話をしたのは、恥ずかしかったから。恋愛経験なんて殆ど無くて、経験も浅くて。ちょっとでも見栄を張りたかったから。



「今度一緒にお昼食べるとかするか……」



そんな私の言葉を遮ったのは、彼女の唇で。


ふわりと、ゆっくりと柔らかい唇が押し当てられて、目の前に甘い匂いが広がった。