ホールの奥に戻ると、さっきまでチラシ配りをしていた萌花ちゃんが私をじっと見て立っていて。



「学校名。教えちゃダメだよ」


ギロリと目を向け強い口調で声を出した。



「え……?」

「"え?"じゃないよ。危ないって言ってんの!」

「でも、あの人優しい人だし大丈夫……」

「何言ってんの?学校に来られたらどうすんだよ!」


いつもと違う萌花ちゃんが、本気で心配してくれてる事が伝わってくる。



「ごめん、なさい……」

「いや、そんな気にしないで。今度から気を付けなね。確かにあの人優しいから大丈夫だと思うけど」


あまりにも私がシュンとしたからか、彼女は慌ててフォローに入るけど。

萌花ちゃんの言うことは最もだと思う。こういうバイト先だからこそ、個人情報は出さない方がいいに決まってる。







「……そ、それと、ちゃんとスパッツ。スパッツ履いた方がいいよ」