運ばれてきたアルコールを口にしながら、自分の事を少し話した。

駅前の専門学校に通ってる事。
この近くで1人暮らしをしてる事。
仕送りとアルバイトで生活している事。


ベラベラと息をつく間も無く喋り続けて、持ってたグラスに勢いよく傾けて一気にお酒を流し込んだ。



「それでね、萌花ちゃんに……いや、イブくんだよね?名前」

「あ、うん」

「イブくんにお願いがあるの」

「え……?」


そう。ここからが本題だ。
今日、イブくんを誘った本当の理由。
きっと伝えても大丈夫。

だって、イブくんだって変な趣味、女装なんておかしな事してるし。大丈夫、大丈夫。

自分に言い聞かせて、大きく息を吸う。
真っ直ぐ向き合えば、萌花の整った綺麗な顔立ちがよく見えた。




「私ね、女の子が好きなの」


萌花の大きな瞳がより丸く見開かれた。
お店では冗談交じりで言ったけど、本気だと伝わっただろうか。