「私ね、女の子が好きなの」



そう言って、目の前の女の子の頬に手を添えた。

お人形みたいに大きな瞳がパチパチと瞬きをする。その子が首を傾げれば栗色の長い髪がふわふわと揺れて、吐き出す息さえも薔薇色に染まった。


その軟らかい唇にそっとキスを落とせば、目を丸くして顔を真っ赤にさせる女の子がいた。



「な、何で……キスなんか…」

「あはは、女の子の友達のノリだよ」


見た目は完璧に女の子だけど、こいつは本当は男らしい。声も低い男の声だし。

でも、もしこの子を好きになれれば、男の子と恋愛ができるようになるのだろうか。



「ねぇ、今日バイト上がり一緒だからさ。一緒に遊ばない?」

「……うん?」


私がにっこりと口許を緩めれば、戸惑いながらも萌花は首を縦に動かした。
頬をピンク色に染めて俯きながらも目を泳がせる、そんな仕草も可愛いと思う。何でこんなにも惹かれるのか。

もし、この子を好きになれるのであれば、私は普通になれるのだろうか。