「きゃ、びっくりするじゃない!もう!」


まーた、百合の園が始まった。そう思った時──、



「ね、イブくん。またうちに遊びにきてね」


萌花の後ろにぶら下がりながら望ちゃんがクスリと笑う。



「また、熱ーいキスしようね」


彼女の台詞に、萌花の完璧な笑顔が凍り付いた。
あ、本当なんだ。頭を誰かに殴られたように、衝撃が走る。



「……望、マジでやめて」


大きな溜め息と共に声のトーンが下がって、両手で顔を覆う萌花の姿のイブ。



「いーじゃない、これ位の意地悪」

「ねぇ、萌花。どういうこと?」

「うーん」



「あはは、2人ともお似合いだと思うよ」


納得いかないことは多いけど、彼女が寂しそうに笑った気がして──。
なんだか、少しだけ胸が痛んだ。







─はじめての3─