「凄い、楽しみ!」

「……」

「イブが私をギューーーって強く熱く抱きしめてくれるんでしょ?」

「うーん」

「何でそこで、真顔で悩むのよ!?」


お店の中だし、なるべく小さな声で叫べば次の瞬間──、ふわりとした甘い香りに包まれる。



「ちょっ、萌花……!?」


私の背中に萌花の両手が回されて 、ふんわりと優しく抱きしめられるから。店員さんやお店の中のお客さんが一斉に私達に注目を受ける。



「これで許してね」


ペロリと舌を出して、子供のいたずらっ子のようにてへ、と笑う。



「もー、ここお店の中だよ!」


萌花の馬鹿!ずるい!!
全然、強くて熱くなんか無いのに、胸がぎゅっとなって、心臓が大きく脈打ち出す。
熱をもって紅く火照ってく頬に両手を当てれば、耳元で萌花が自信あり気に"ふふっ"と笑う声が聞こえた。

むかついているのに、何でいつも騙されちゃうのかな。






─女の子デート─