「へー……」

「ふわふわで可愛いよ?」

「ちなみに萌花はなんのぬいぐるみ?」

「萌花はフランス人形」


私はクマで、萌花《あんた》はフランス人形ですか。



「あんた、女心0点!!」

「えー、何で?」

「私を怒らせるために言ってるんでしょ!?」

「えー、そういう訳じゃないけど。別に女の子になりたいわけじゃないし。可愛くはなりたいけど……」


なんなの、こいつのこの言い分は。前から思ってたけど、全く訳分かんない。



「でも、クマのぬいぐるみって抱きしめたくなる位に可愛いでしょ?」


と唇やわ尖らせながら、ふわふわの髪の毛を左の人差し指でくるくると巻いている。
萌花によって落とされた全く悪気のない言葉。可愛ければ、何言ってもいいと思ってるのだろうか。




「じゃぁ、帰ったらイブの姿で抱きしめて貰おうかな」

「……うん?」

「抱きしめちゃいたい位に可愛いんでしょ?」

「うーん」


さっきまでの自信はどこに行ったのか、眉が下がって目が泳ぎはじめた。