休憩がてらに入った今話題の人気カフェ。30分並んでやっと席に着けた。

雰囲気はアンティーク風。古びた木製の机に色んな形の椅子がセットされていて、全体的に大人っぽい。
値段も、ちょっと大人っぽい……。美味しいけど。



「芽生ちゃん、どうしたの?疲れた?」


私と萌花はカウンター式の席で。すぐ隣に腰かける萌花が、大きな瞳を瞬きさせて長い睫毛をぱちぱちとさせる。
その可愛くてキュンとくるであろう仕草さえ、今日は小憎たらしく見えた。



「べっつにー」

「嘘だ。なんか怒ってる」

「なんでもない、疲れただけ」


そう言って、運ばれてきたショコラモンブランを1口食べる。



「ふーん。あ、芽生ちゃん写真撮ろ!」

「え?やだよ」

「ネットにはあげないから、ね?」


約束、と言わんばかりに下から覗き込まれる。くやしいけど、萌花のこんなおねだりの表情みたら頷くしかないんだよね。


萌花は嬉しそうにインカメラに設定してから右手を伸ばして、連続でシャッターを切っていった。