「ち、違うよ。バイト先の美人の先輩とキスしてたのに隠してたからなんかムカついて」

「でも、それ付き合う前の話でしょ!」

「ううっ、でも違くて」

「何が違うの?イブって奴に押し倒されて、何も考えてなかったのが悲しかったんでしょ?」


身も蓋も無い紗央の言葉が恥ずかしくて思わず耳を塞ぎたくなる。
確かに、違うけど、違くないんだよね。



「そんな凄いことじゃなくて、もう少し、近くで手繋いだりぎゅっとしたり……」


特別なエ、エッチな事がしたい訳じゃなくて。恋人としてもう少し近付きたいだけなのに。
声がどんどん小さくなっていく。



「えー、むっつりなんじゃない。あーゆうタイプって。頭ん中凄そう」

「そうかなー、草食系っぽくない?」

「幼馴染みってそうなのかな響きはいいんだけどねー」

「まぁ、害は無さそうだよね」


紗央とあかりによって、ひどい言われようのイブ。ちょっと気の毒になっちゃう位。

納得のいかないところはあったけど、2人に吐き出す事が出来て、少し心が軽くなった。
うん、きっと望ちゃんに嫉妬しちゃったというのもあるし。焦る事なんてないのは分かってる。



芽生ちゃんも好きだよ──。

あの言葉だけで、一緒にいられるだけで今は十分に満足できるのに。


もっと求めて、我が儘になって、その先を望んでしまうのかな。






─はじめての?2─